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zoom RSS 【善意に満ちた1冊に涙する】「漱石センセと私」出久根達郎

<<   作成日時 : 2018/06/11 20:04   >>

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飄々としてホロリとさせる、出久根節は健在です。TSUTAYA書店豊町店で購入。e-hon利用。
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伊予松山出身の歌人久保より江の少女時代から、近代日本の耳鼻咽喉医学のパイオニアであり短歌も詠む久保猪之吉との新婚時代までを描いた、「恋する乙女」の恋愛小説です。

恋愛といっても、明治の恋はとても清純。東京帝大に進学した伊之吉との恋は文通が基本。この文通の中身が良い。猪之吉に教わった短歌と、辞典編纂の仕事もする彼のために、暮らしの中で気に留めた言葉を贈る。好きよ愛してるの一言もないが、お互いを思いやる文面が恋情豊かです。

久保宅に下宿する子規と漱石、出入りする虚子、こちらも長い手紙をやり取りすることになる鏡子夫人、熊本の古本屋で出会う寅彦など、より江の周りはいつの間にか漱石ワールド。彼らとの交際と、遠き都にいる猪之吉への思いを胸に、よし江は成長していきます。

そして漱石ワールドといえば猫。

「それは犬かい?」センセがより江の抱いている黒猫を目で示した。
「猫です」
「なんという名前?」
「名前は、まだありません」

このやり取りから「吾輩…」の猫かと思いきや、さにあらず。物語の随所に登場させる筆者の才幹には脱帽です。

よし江を温かく見守りながら続けざまに黄泉に旅だつ祖父母と母の姿も感涙もの。さらりとした記述が逆に胸を熱くします。寝たきりになった父親と「妊娠」を祝う場面も秀逸。

全編善人だらけ。その明るさによって、ゆったりと時を忘れた読書体験をもたらしてくれる1冊です。

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